西郷(さいがう)桐野(きりの)以下(いか)の賊(ぞく)は/延岡落城(のべをからくじゃう)の後(のち)は日向(ひうが)の/高(たか)千穂(ちほ)の山間(さんがん)に退縮(たいしゅく)せ/しが密(ひそか)に策(さく)を決(けっ)し/八月十八日江之(えの)瀧山(たけやま)/を突出(とっしゅつ)し官軍(くゎんくん)の/囲(かこ)みを突(つき)三田井(みたい)に/出道々(いでみち)の分署(ぶんしょ)を/おそひ同国(どうごく)飯野(いいの)小林(こばやし)/を経(へ)て大隅(おほすみ)の国(くに)/横川(よこかは)吉田(よしだ)辺(へん)へ/討(うっ)て出/官軍を破(やぶ)りしその/勢威(いきほい)猛虎(まうこ)の荒(あれ)たる/如(ごと)く遂(つひ)に九月一日午前(ごぜん)/鹿(か)児島(ごしま)へ討入弾薬(うちいりだんやく)を/掠奪(りゃうだつ)し猶弁天(なほべんてん)台場(たいば)に/備(そな)へ在(あ)る大砲(たいはう)四門その外(ほか)の銃器(じうき)/うばひ夜(よ)に入(いっ)て倍々賊勢盛(ますぞくせいさか)ん/市街(しがい)は兵火(へいくゎ)㷔々(えん)として天を/焦(こが)しさながら暗夜(あんや)も/白昼(はくちう)の如(ごと)く飛丸(ひぐゎん)雨より/はげしく頗(すこぶ)る未曾有(みそうう)の激戦(げきせん)也/葢(けだ)し賊兵(へい)は勢威(いきほい)に乗(じゃう)じ/ 県庁(けんちゃう)ならびに旧(きう)私学校(しがくかう)/うばひ城山(じゃうやま)の要地(えうち)占(しめ)/根拠(こんきょ)となし兼(かね)て官軍(くゎんぐん)/築(きづ)きたる堅塁(けんるい)によつて発砲(はっはう)なし/一時勢(いちじいきほ)ひをふるひしが其後(そののち)官軍/米倉(こめぐら)に篭(こも)りたると戦(たゝか)ひけるに/貴島(きしま)隊(たい)の長貴(ちゃうき)島清(しまきよし)は乱軍(らんぐん)の/内(うち)に陣没(うちじに)なし又/中津(なかつ)隊(たい)の長(ちゃう)たる/増田(ましだ)宋(そう)太郎は捕縛(ほばく)となり賊勢(そくせいすこし)少(そくせいすこし)/衰(おとろ)へるに追々(おひ〱)入港(にうこう)の官軍(くゎんぐん)は/東伏見(ひがしふしみの)宮(みや)をはじめ河村(かはむら)/二(み)(三カ)好(よし)その他(た)の将校各軍議(しゃうかうおのぐんぎ)/策略(さくりゃく)を決定(けってい)し九月廿四日/払暁海陸間道(ふっけうかいりくかんだう)すき間(ま)/なく城山目的(じゃうやまさし)て攻撃(こうげき)なすに遉剽悍(さすがへうかん)/なる賊軍(ぞくぐん)も前後左右(せんごさいう)の大軍(たいぐん)に武勇(ぶゆう)を/震(ふる)ひし西郷桐(さいがうきり)野(の)四方(しはう)の固崩(かこみくずる)るを見(み)て/遺憾(くちをしく)も今(いま)は術策尽果(じゅつけいつきはて)けんいでや最期(さいご)を/逐(とぐ)べしと諸将自(しょしゃうみづか)ら烈敷戦(はけしくたゝか)ひ四角(しかく)八面(はちめん)に/荒廻(あれまは)り遂(つひ)に討死(うちじに)なしたりとぞ/既(すで)に西郷(さいがう)は過(すき)し二月中旬(なかば)より熊本(くまもと)へ/操出(くりいだ)し川尻(かはじり)を本営(ほんえい)に構(かま)へし/以来(いらい)屢々(しば〱)官軍(くゎんぐん)ひに抗(こう)する事半(はん)/年余(ねんよ)各(かく)所(しょ)の戦(たゝか)ひ旧陸軍大将(きうりくぐんたいしゃう)/の名義(めいぎ)むなしからず雖然(しかりといへども)/維新(いしん)前(せん)より報国(はうこく)の志(こころざ)し/あつく忠勤(ちうきん)をつくし其功(そのこう)/莫大(ばくたい)なりも大義(たいぎ)をあやまり/賊名(ぞくめい)を得(え)て城山(しゃうやま)の露(つゆ)ときえしは/実(げ)に惜(をし)むべき事どもなり/本営に有りし際/書模ありし歌/なりとぞ/ひと夜たにふし愛き野辺の/さゝの庵なれぬる袖や/露けさもなし 南洲
IIIF Image
資料集掲載番号
129
受入番号
1990-032-175
西南戦争錦絵判型
大判錦絵三枚続
彫師
彫師未詳
賛署名
筆者未詳
版元名
山本平吉
版元住所
新葭町二番地
届出日
明治十年十月三日届出
左中右 上中下1
右
本紙1横
23.90
左中右 上中下2
中
本紙2竪
34.70
本紙2横
24.20
左中右 上中下3
左
本紙3横
24.10
本紙1竪
34.80
本紙3竪
34.50
名札
西郷隆盛
池上四郎
従僕重助
別府新助
桐野利秋
村田新八
東伏見少将
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right-to-left
UUID
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