続(つゞ)いて西南(さいなん)の大戦争(いくさ)は曰(ひ)々/其鎮静(そのをさまり)を祈(いの)るといへどもいまだ/防戦(ぼうせん)の煙(けむり)横(よこ)ぎり兇雲(けううん)裂(さ)け/やらず一人西郷隆盛血路(けつろ)を開(ひら)/かんと欲(ほっ)すれども志遂(こゝろざしとげ)る能(あた)はず/去程(さるほど)に方今賊勢(このごろぞくせい)の一方(いっほう)ひらき/春色稍(しゅんしょくやゝ)うつろひ満開(まんかい)の花に/ひとしく美々(びゝ)堂々(とう)と/五百有余人声(こへ)を揃(そろ)へて操込(くりこ)む一隊(たい)あり/其粧装(いでたち)は白木綿(しらゆう)の鉢巻(はちまき)後(うしろ)に垂(た)れ緋(ひ)/の玉襷(たまだすき)まばゆく丈(た)け髪(かみ)を振乱(ふりみだ)し甲斐(かひ)/〱゛しく長刀(なぎなた)を横(よこ)たへたるは正(まさ)しく一群(ひとむれ)の女(にょ)/隊(たい)なるが何(いづ)れの嚊(かゝ)やら箱入(はこい)りやらお三どんやら/等級(とうきう)いづれもさだかならず畢竟同権(ひっきょうどうけん)の流言(ことば)が/あればいゝて浮雲(あぶな)い開戦(かいせん)をやられ升す/官軍方の勝利(しょうり)にをいては度(ど)を算(かぞ)ふるに/指(ゆび)を忘(わす)る賊方には軍略心胆(ぐんりゃくしんたん)を砕(くだ)くが/中に西郷は忽然(こつぜん)と彼方(かなた)に出(いで)此方(こなた)に指揮(しき)し/前(まへ)にあり後(うしろ)に現(あらは)れ四五名影武者(かげむしゃ)ありと/いふは信(しん)を得(へ)がたき風説(うはさ)ならんが賊隊ケ程(かほど)/策(さく)を労(ろう)ずといふも有名(なある)の賊将次第(たいしゃうしだい)に/戦没(せんし)しやゝ進撃(しんけき)も衰(おとろ)へたるか/壮厳(そうげん)たる霜柱旦(そうちうあした)の陽(ひ)に滅(めっ)す/にひとしく楚勢(そぜい)の強勇(ごうゆう)なる/も晩秋(ばんしう)の落葉(らくやう)につれ古郷(こけう)/の空(そら)に想(おもひ)を焦(こが)す敗卒(はいそつ)/の深情(おもひ)もかくやらんと遠(とほ)く/量(はか)るのみ跡(あと)はをい〳〵/ 次号(つぎ)に確報(しら)/す 明治十年三月五日御届 同 四月 出版
資料集掲載番号
182
受入番号
2014-005-11
西南戦争錦絵判型
大判錦絵
彫師
彫師未詳
賛署名
金井徳兵衛筆
版元名
金井徳兵衛
版元住所
大阪府第三大区六小区新町南通一丁目十一番地
届出日
明治十年三月五日届出
本紙横
35.70
本紙竪
23.90
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UUID
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