By nakamura, 5 7月, 2024

池上(いけがみ)四郎は/鹿児島(かごしま)の士族(しぞく)/にして武勇(ぶゆう)の人(ひと)たり西郷(さいがう)と倶(とも)に熊本(くまもと)に/出張(しゅっちゃう)し一方(いつばう)の将(しやう)として各所(かくしょ)に戦(たゝか)ひ官兵(くゎんへい)と/抗撃(かうげき)せしも御舟(みふね)の敗走(やぶれ)に重痍(おもで)を負(お)ひ割腹(かっぷく)/して果(はて)しとぞ

桐野利秋(きりのとしあき)は鹿児島(かごしま)の人始(ひとはし)め/姓(せい)を中村(なかむら)という人(ひと)なり強壮(ごうそう)にして武(ぶ)に長(ちゃう)ず維新(いしん)の際(をり)/軍(ぐん)に従(したが)ひ屢々(しば〱)大功(たいこう)あるを以(も)て追々(おひ〱)登進(とうしん)し遂(つひ)に陸軍(りくぐん)/少将(せう〱)に挙(あげ)らる始(はじ)め西郷(さいがう)と其中(そのなか)和(くわ)せず征韓論(せいかんろん)発(おこ)りて/西郷と論(ろん)を同(おな)じうするを以(も)て無二(むに)の党(とう)となり隆盛(たかもり)職(しよく)を/辞る際(とき)倶(とも)に辞して帰国(きこく)なし遂(つひ)に今回(こたび)の暴動(ばうどう)に/及(およ)びしとぞ

淵邊高照(ふちべたかてる)は悍強(ひゃうがう)にして武(ぶ)に/達(たっ)し戊辰以来(ぼしんいらい)各所(かくしよ)の戦場(せんぢやう)を/経て功(こう)あるを以(も)て一度(ひとたび)官(くわん)に進(すゝ)みしも頑固(ぐゎんこ)/にして方向(はうこう)を違(たが)へ西郷(さいかう)桐野(きりの)等(ら)と熊本(くまもと)に出兵(しゆつへい)し/士卒(しそつ)を指揮(しき)する事(こと)手足(しゆそく)の如(ごと)く/之がため官軍(くわんぐん)苦戦(くせん)する事(こと)数(す)/度(ど)されど久(ひさ)しく天兵(てんへい)に抗(こう)ずる事(こと)をえんや

西郷(さいがう)小平(こへい)は文武(ぶんぶ)に達(たつ)し頗(すこぶ)る才器(さいき)あり暴徒等(ばうとら)出軍(しゆつぢん)の前(ぜん)/熊本城(くまもとじやう)を陥(おとしい)るの戦畧(せんりやく)を述(のぶ)ると雖(いへども)隆盛(たかもり)之(これ)を用(もち)ひず兵(へい)は/を先(さき)にす我(われ)大(たい)/軍(ぐん)を帥(ひきひ)て東上(とうじやう)すと声言(せいげん)せば/熊本(くまもと)の如(ごと)きは風(ふう)を望(のぞ)んで/潰散(□□さん)せんと云(い)ひたりしと/ 小平は熊本(くまもと)にて戦死(せんし)なしたり

西郷隆盛(さいがうたかもり)は吉之助と称(しらせ)す其才(そのさい)非凡(ひぼん)にして/ 和漢(わかん)の学(がく)に通(つう)ず嘗(かつ)て尊攘(そんじやう)の説(せつ)を称(とな)へ交(ましは)りを/四方に結(むす)び艱難(かんなん)を/経て終(つひ)に幕府(はくふ)を仆(たを)し王政(わうせい)を復古(ふつこ)なす其功(そのこう)/莫太(ばくたい)なるを以て正三位(み)陸軍(りくぐん)の大将(たいしやう)に挙(あげ)らる/然るに征韓論(せいかんろん)の用(もち)ひられざるを以(もっ)て職(しょく)を辞(じ)して/帰国(きこく)なし暴徒(ばうと)の巨魁(きよくわい)となつて千歳(せんさい)に惡名(あくみやう)残(のこ)す惜(をしむ)かな

村田(むらた)新八(しんはち)は鹿児島(かごしま)の士人戊辰(ぼしん)の際(さい)功(こう)あるを以(も)て官途(くわんと)に進(すゝ)み/且洋行(やうこう)して兵(へい)を学(まな)び帰朝(きてう)の後(のち)西郷(さいがう)と倶(とも)に辞職(じしよく)して/国にかへり今回(こんくわい)暴徒(はうと)の一将(いつしやう)として各所(かくしょ)に於(おいて)天兵(てんへい)と抗戦(こうせん)す

町田(まちだ)啓(けい)次郎は旧(もと)佐土原藩(さとはらはん)知事(ちじ)/三男たり西郷(さいごう)兵(へい)を挙(あぐ)ると/聞佐土原(さどはら)始(はじ)め延岡(のべをか)飫肥(おひ)髙鍋(たかなべ)等(とう)の士族(しぞく)を/煽動(せんどう)して自(みづか)ら将(しやう)となり薩兵(さつへい)と倶(とも)に熊本(くまもと)へ/繰出(くりいだ)し蟷斧(たうふ)をあげて天兵(てんへい)と抗戦(こうせん)す

前原一格(まえばらいつかく)は長州(ちやうしう)の/士族(しぞく)前原一誠(まえばらいつせい)の/末弟(□□てい)たり兄(あに)一誠/捕縛(ほばく)のをり薩州(さつしう)に潜(ひそ)みしが今回(こたび)の暴挙(ばうきよ)を/幸ひとし熊(くま)本に出張(しゆつちやう)し我姓名(わがせひめい)/白布(しろぬの)に書(しよ)したるを襷(たすき)にかけ/いつも真先(まっさき)に進(すゝ)ん勇戦(ゆうせん)にすとぞ

篠原国幹(しのはらくにもと)は鹿児島(かこしま)の士族(しぞく)たり/其性(さが)温和(おんくわ)にして文武(ふんぶ)に長(ちやう)ず/嘗(かつ)て勤王(きんわう)の志(こころさ)し深(ふか)く各所(かくしよ)に/戦功(せんこう)あり維新(いしん)の後(のち)陸軍(りくぐん)/少将(せう〱)を拝命(はいめい)/せしが退(しりそい)て帰(き)/国なす兼(かね)て隆盛(たかもり)と無二(むに)の/友たり西郷(さいごう)事(こと)を議(ぎ)すに先(まづ)国幹(くにもと)/と計(はか)り意(い)快(けつ)(決カ)して後(のち)桐野(きりの)村田(むらた)/等に話(わ)すといふ今回(こたび)暴徒(はうと)先鉾(さきて)の/将として肥後(ひご)熊本(くまもと)に出張(しゆつちやう)し/ 熊城(じやう)を囲(かこ)み猶(なほ)植木(うえき)田(た)原坂(ざか)に攻撃(こうげき)し/𠮷次越(きちじこえ)の戦(たゝか)ひに炮玉(はうきよく)に中(あた)りて/落命(らくめい)す

資料集掲載番号
198
受入番号
1990-032-117
西南戦争錦絵判型
大判錦絵三枚続
作者
大蘇芳年[月岡芳年]
彫師
彫工弥太良刻
賛署名
筆者未詳
版元名
森本順三郎出版
版元住所
浅草瓦町二番地
届出日
明治十年六月出版
左中右 上中下1
本紙1横
24.80
左中右 上中下2
本紙2竪
35.40
本紙2横
25.10
左中右 上中下3
本紙3横
24.80
本紙1竪
35.80
本紙3竪
35.80
名札
西郷隆盛
西郷小平
淵邊高照[淵辺高照]
桐野利秋
池上四郎
村田新八
町田啓次郎
前原一格
篠原国幹
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right-to-left
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