By nakamura, 5 7月, 2024

西郷隆盛子息(しそく)菊太郎を膝近(ひざちか)く招(まね)ぎ汝既(すで)/に十三才何ぞ善(よく)記億(きおく)をなし今某(それ)が言(ゆう)こと/を忘失(ぼうしつ)することなかれ抑々(そも〱)出陣の後肥後日/ 向に有て某戦(たゝか)ひを見るに我運(わがうん)伝無(つたな)き戦/ふことに敗(はい)し味方(みかた)は敵(てき)に降(くだ)り何ぞ何(いつ)迄かつ/ みを作り数多(あまた)の人を損失(そんしつ)するは本意(ほんい)に不(あら)/ 有(ず)得(とく)より討死(うちじに)と思へども隆盛官軍に追(おわ)/れ日向の幽谷(ゆうこく)に亡(ほろ)びしと後世(かうせい)識者(きしや)の誹(そし)り/を憚(はゞか)り一旦古里(こきやう)に立返り討死せんと去る/三十日の夜大軍を討破(うちやぶ)りて今爰(いまこゝ)に及び/たり明日は必ず討死せんと思ふなり汝(なんし)末期(まつご)の/対面(たいめん)に教訓(きやうくん)をのこさん夫(それ)鳥の将(まさ)に死(しな)/んとする時(とき)其(その)呼声(なくこへ)悲(かな)し人将に死んと/する時其言(いふ)ことをよしと謂(いへ)况(いわん)や父と/して子に遺言(のこす)ことをや汝某無後(なきのち)は伯父/頼道(よりみち)を父と思ひ万事ことをもとらず生長(ひととなる)/の後君に仕へ忠勤を磨(はげ)むべし未た此外数/か条自筆(じひつ)に記(しる)し置たる此一巻をよく熟(じゆく)ど/くせよとうや〱敷も与うれば菊太郎は押い/たゞき只々涙(なみ)だにかき暮(くらし)を外(よそ)の見目(みるめも)哀(あわれ)也

資料集掲載番号
275
受入番号
1990-032-176
西南戦争錦絵判型
大判錦絵三枚続
作者
歌川国明[二代目 歌川国明]
彫師
彫師未詳
賛署名
筆者未詳
版元名
浦野浅右衛門
版元住所
寺島新田四十五番地
届出日
明治十年十月十二日届出
左中右 上中下1
本紙1横
23.90
左中右 上中下2
本紙2竪
36.30
本紙2横
24.10
左中右 上中下3
本紙3横
24.00
本紙1竪
36.40
本紙3竪
36.40
名札
西郷隆盛
娘 白妙
西郷奥方
愛妾
菊太郎乳母
伜 菊太郎
辺見十郎太
iiif_direction
right-to-left
UUID
5a687c3e-e0e5-4d29-868a-e7747bd791f8