By nakamura, 5 7月, 2024

西郷隆盛 時に明治十年八月上旬(じゅん)より/東の方の空(そら)にあたり夜(よ)な〱/その色紅(いろべに)の如き大ひなる星(ほし)出現(しゅつげん)/せり人々めづらしと云ほどに何者(なにもの)/か臆説(をくせつ)をなして曰く薩(さつ)賊の惣/長西郷吉之助が陸軍(りくぐん)の官服/を着(ちゃく)せし如くに見(み)ゆるなどとあら/れぬ事どもを言ふらせり然(しか)るに/東京大学理学部(りがくぶ)の学士ピー。ウィ/ー。ウィーダル氏の説にいはく「そも/此星(ほし)は火星といふて遊星なりされば/本年は火星(マルス)が太陽と地球(ちきう)とに最(もっ)とも/近(ちか)く寄(より)たれば大きくも見えまた赤き色/も増(まし)たるなり色の赤(あか)きは火星の証(せう)こなり既(すで)に/今より百五十年前この星現われたる時西洋に/ても新星なりと思ひ種々(いろ〱)の説を立その/後七十九年目にあらわれし節(せつ)も兵乱(へいらん)/のまさに起(をこ)らんとする凶兆(けうてう)ならんなどゝ/風説せり〔世に此ほしを熒惑星とも云〕また/案ずるに此火星(マルス)は二ヶ年五十日目ごとに大陽/に近(ちか)づく事あれど地球は反(かへ)つて大陽ともつとも/ 遠くはなるゝ物なれば見へざる之より今より七十年の/後明治八十九年には本年の如く現(あら)はれべしと記(のべ)られたり           笠亭主人篠田仙果録

資料集掲載番号
276
受入番号
2016-014-01
西南戦争錦絵判型
大判錦絵
作者
楊洲斎周延(楊洲周延)
彫師
彫秀勝刻
賛署名
笠亭主人篠田仙果筆
版元名
松下平兵衛
版元住所
本郷元冨士町一番地
届出日
明治十年八月三十日届出
本紙横
25.50
本紙竪
37.90
名札
西郷隆盛
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UUID
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