鹿児島県(かごしまけん)賊徒(ぞくと)の巨魁(こくわい)西郷(さいがう)／吉之助は自(みづか)ら新政大総(しんせいだいそう)／督(とく)征討大元帥(せいとうだいげんすい)と僭(せん)／称(しょう)し其勢(せい)凡／一万四千余(よ)人鹿児(かご)／島を練(くり)[繰カ]出し肥後(ひご)の国境(ざかひ)にて／兵を二手に分(わ)け水俣(また)人吉の／両道より進(すす)み八代にて兵(へい)を合(がつ)／熊本さして押寄(おしよせ)たり維旹(ときにこれ)明治／十年二月廿一日昧夾(まいそう)[爽カ]より熊城(ゆうじゃう)を／囲(かこ)み攻立(せめたて)けれど城中(じゃうちう)更(さら)に屈(くっ)する色なく／防禦(ばうぎょ)の術(じゅつ)を尽(つく)すにより賊兵(そくへい)一旦(いったん)軍(いくさ)を／纏(まと)め各所(かくしょ)に陣営(ぢんえい)を構(かま)へたり同廿二日三／日の両日山鹿(やまが)口に戦争(たたかい)始り官軍(かんぐん)頗(すこぶ)る／勝(しょう)利を得て賊軍(ぞくぐん)□□(うち)やぶりしは実(け)に／目覚(さま)しき形□(あ□)[形勢／ありさまカ]なりとぞ／山閑人記