吉次越激戦(きちじごえのげきせん)／篠原(しのはら)討死(うちじに)之談(のだん)／暴徒(ぼうと)の先陣(せんぢん)篠原(しのはら)は其手(そのて)の別将(べっしゃう)／西郷(さいがう)小平肥後(ひご)助右エ門の両人(りゃうにん)に熊本(くまもと)／城(じゃう)を囲(かこ)ませつゝ其身(そのみ)は植木(うえき)向坂(むかひざか)木(き)／留辺(どめへん)へ進撃(しんげき)し吉次(きちじ)／越(こえ)迄(まで)到(いたりし)に官軍(くわんぐん)爰(こゝ)に待(まち)／受(うけ)て大小銃(しう)を打(うち)かけ〱勢(いきほ)ひ／猛(たけ)く突出(とっしゅつ)なすにぞ賊兵(ぞくへい)進(すゝ)むこと／を得(え)す隊長(たいちゃう)国幹(くにもと)之(これ)を見(み)て陣頭(ぢんとう)に／駒(こま)を馳(は)せ手先(てさき)をまはして働(はたら)くをり／から銃丸(じうくわん)飛(とん)で篠原(しのはら)が胸元(むなもと)を打(うち)ぬき／けるにぞ馬(うま)より落(おち)て死(し)しにける此際(このとき)／西郷隆盛(さいがうたかもり)は兵(へい)を卒(そっ)して助(たす)けきたり／味方(みかた)を纏(まと)めて引揚(ひきあげ)たり此戦(このたゝか)ひに／名(な)を得(え)たる村田(むらた)三介も重傷(おもで)を負(お)ひ／暴徒(ばうと)の死傷(ししゃう)しとぞ