西郷隆盛(さいがうたかもり)東京在職中(とうきやうざいしよくちう)は一妾(いつせう)/だも召抱(めしかゝ)へざりしに這回(こたび)戦地(せんち)へ妾/お杉(すぎ)を伴(ともな)ひしが官軍迫(せま)りてもはや/軍配(ぐんばひ)機(き)を失(うしな)ひ都(みやこ)の城(じやう)の落陥(らくかん)/近(ちか)づきたればお杉(すぎ)を呼(よ)びて云云(しか〱゛)の/由(よし)を言聞(いひきか)せ汝(なんぢ)に暇(いとま)を取(とら)する也/無事(ぶじ)に一生(いっせう)を過(すご)せよとて若干(そこばく)/金(きんを)与(あた)へしかば女は別(わか)れを惜(おし)み死(し)なば/諸共(もろとも)と掻(かき)口説(くど)くを傍(かたわら)の者(もの)に/宥(なだめ)諭(さと)され遂(つひ)に此場(このば)を落(おち)たり/とかや