智(ち)は□(まつげ)の如(こと)くよく百歩(ひゃくぼ)の外(ほか)を見(み) るも自(みづか)ら之(これ)を見る能(あた)はず西郷隆盛 は自(おのれ)が智勇(ちゆう)に傲(おこ)りて暴徒(ぼうと)を募集(かたらい) 其身(そのみ)首長となりて熊本に戦(たゝか)ひし より自今(このかた)数(す)百度の奮戦(ふんせん)に出没奇(しゅつぼつき) 変(べん)の謀計(ぼうけい)を尽(つく)せしも官軍(くゎんぐん)是に 進退(しんたい)して数(す)月の死戦(しせん)に奮撃(ふんげき)あ れば諸(しょ)口の賊兵(ぞくへい)次第(しだい)に討(うた)れ大口 村の戦(いくさ)には降(くだ)れる暴徒(ぼうと)六百余人其外 所々にて降参多(かうさんおほ)く人吉都延岡も竟(つひ)に 落城(らくじゃう)なしたりしが西郷桐野逸見等(へんみら)は 姿(すかた)を隠(かく)して遁走(とんさう)せりとぞ