By nakamura, 5 7月, 2024

▲西郷小平 菊五郎 ●桐野利秋 団十郎 ●「軍(ぐん)を統権(すべけん)をたもつ者(もの)は将(しゃう)なり勝(かつ)を制(せい)し敵(てき)を破(やぶ)る者(もの)は/衆(しう)なりと三畧記(さんりゃくき)にもいへるが如(ごと)く足下(ごへん)は我等(われら)が総督(そうとく)たる/隆盛殿(たかもりとの)の弟(おとゝ)にて勇畧(ゆうりゃく)もつとも世(よ)に聞(きこ)え股肱(ここう)とたのむ人(ひと)なれば熊本(くまもと)県下(けんか)へ進入(しんにう)の先鋒(せんはう)となり/衆(しう)に抽(ぬき)んで功名(こうみゃう)して舎兄(あにご)の本意(ほんい)を達(たっ)されよ ▲「そは仰迄(おほせまで)も候はず兄隆盛(あにたかもり)を初(はじ)めとして桐野(きりの)篠原(しのはら)/両将(りゃうしゃう)まで今度(こんと)の暴挙(ばうきょ)に與(くみ)せしうへはいかで拙者(せっしゃ)が違背(いはい)すべき去(さり)ながら我兵(わかへひ)の熊本県(くまもとけん)へ乱入(らんにう)するは/軍配甚(ぐんばいはなは)だ然(しか)るべからず夫故拙者(それゆえせっしゃ)は先鋒(せんばう)に進(すゝ)んで無益(むえき)の討死(うちじに)を致(いた)すを功(こう)とは存(ぞん)じ申(もふ)さぬ●「こは異(こと)/なりたる足下(そつか)の詞(ことば)熊本県(くまもとけん)へ出(いて)ずして何(い

By nakamura, 5 7月, 2024

都城新座顔見世(みやこのじゃうしんざのかほみせ) 夫戦場(それせんぢゃう)の光景(ありさま)ば風(かぜ)もかなしみ日こと 曛(くれ)て。巌壁(がんぺき)峨(か)々とそびへたる。溪(たに) 間(ま)に潜(ひそ)む武夫(ものゝふ)は。敵(てき)か味方(みかた)欤(か) 白華(しらとり)表(る)。神(かみ)の御前(みまへ)は物凄(ものすご)し。と 此合方(このさみせん)をきっかけに。浅黄の幕 をふり落(おと)し。先(まづ)三建(みたて)目のだん まりを。明(あけ)てみやこの新舞台(しんぶたい)。遅(おく) れながらも顔(かほ)見せに。三千両の上手(しゃうず) 諸手揃(そろ)ひ。水も洩(もら)さぬ鹿児島(かこしま)戦記(せんき)は。 大砲(たいはう)小銃(こづゝ)のきらひなく。当るといふが 吉兆(きってう)々々(〱)      亀乃屋萬翁記

By nakamura, 5 7月, 2024

薩(さつ)兵大挙して熊(ゆう)城を囲(かこ)み征討 の官軍西に下り戦闘(とう)屢々(しは〱゛)勝 敗あり又敵味方の死傷(ししゃう)あるも ◌◌を以てするが故其員(そのかず)判然たら ずと雖(いへど)も多数の死傷あるを証(しゃう)す 官軍竹を破(わる)の勢ひなるも暴 徒死奮の勇をふるひ激戦(げきせん)なす 其中に一と際(きは)目立女軍の一と群(むれ) みどりの黒髪(くろかみ)ふり乱し白綾(あや)たゝん で鉢(はち)巻なし紅(くれな)いの﨔(たすき)を綾どり 薙刀打ふり戦ふさまは往古の巴(ともへ) 斑額(はんがく)も斯(かく)やとこそはおもれたり               三寒人記