薩将淵部高照 高照は身骨肥満にして腰体十 囲膂力よく百斤の重を挙 ぐ本年二十八歳戦 闘に臨で常に祖裼 大刀を帯び歩卒に 先して敵を斃す事 無数又軍略に達す 既に戊辰の役や越 後口に於て薩の小隊 長と為り戦功を顕し 高照が右に出る者無り しは強の武士と謂つ可し 後陸軍少佐に任じ次て島根 県の参事に転し幾も無く 亦陸軍少佐と為りしかど 朝廷征韓を非と為の議起 りしより高照は憤懣激怒 官を捨て去り国に在て私学 校の部長と為り衆望多かりしが 狂酒強謾遂に学徒に踈まれ放逐せら れたりしに今回西郷が一方の将と為り 毎戦敵兵を敗り猛勇を以て 聞ゆ薩軍中の一英傑なり