By nakamura, 5 7月, 2024

市川団十郎 ヿ咄しも過(すぎ)し辰年(たつどし)から東西南(あちらこち) 南(ら)と功名仕(はたらい)て大将株(ばんとふかぶ)には成(なっ)たれど 気詰(きづま)り故(ゆへ)に暇(いとま)を貰(もら)ひ宅(うち)へ帰(かへっ)て 夫(それ)からは友達(ともだち)寄(よ)せて 喧𠵅(けんくゎ)を始(はじ)め多人数(おゝくのひと) に心労(しんぱい)させ夫(それ)でも 休(やめ)ねへ   西郷(さいがう)の高(たか) 岩井半四郎 ヿ元は私(わた)しも高(たか)さん と一所(いっしょ)に勤(つとめ)て居(い)た時(とき)に 密(しの)び〱に言替(いゝかわ)し 相談(そうだん)づくで仕(いとま)を辞世間構(もらいせげんかま) わずお前(まへ)の傍何様(そばとふとも)成指揮(さしづ) をしておくれ命(いのち)もいらない      桐(きり)のヽおとし 尾上菊五郎 ヿ拙者(おいら)の伯父(をじき)も無法者(むほうもの) 無利(くだらぬ)喧𠵅(けんくゎ)を仕出(しいだ)して 其末(とう〱)萩(はき)で撃殺(うちころ) され夫(それ)から悔(くや)し い〱と時節(じせつ) を待(まっ)て今こヽ にかすり の兄分(あにき) の 迎(むけ)ひを幸(せへゎ)へ暴徒(あばれ)に出(で)かけた前原(まへばら)の市(いち) 中村芝翫 ヿ命知(いのちし)らずの篠原(しのはら)と私(わたし)の親父(おやじ)

By nakamura, 5 7月, 2024

西條氏(さいでううぢ)は東京の人なり旧称(きうしょう)は河原崎(かはらさき)長十郎後(のち)に/権(ごん)十郎紫扇(しせん)と号(がう)す其実(そのじつ)歌舞伎(かぶき)俳優(はいゆう)の長(ちゃう)七代目/団(だん)十郎寿海老人(じゅかいらうじん)の末子(ばつし)にして一度(ひとたび)狂言座(きゃうげんざ)河原崎(かはらさき)/権(ごん)之助の養子(やうし)となり故(ゆえ)あって実家(じっか)を相続(さうぞく)し/九代目市川(いちかは)団十郎と改称(かいしょう)し俳号(はいがう)を三升(さんじゃう)とし/人(ひと)呼(よ)んで団洲(だんしう)と称(しょう)す天資(てんし)悠然(いうぜん)小事(せうじ)に関(くゎん)せず/容貌(かたち)簟瓢(たんぺう)の如(ごと)く巨眼(ごかん)光輝(くゎうき)但見(たゞみ)る珠数(じゅす)の親玉(おやだま)に/似(に)たり先年猿若街(せんねんさるわかちゃう)に在(あっ)て俳僧(はいそう)法蓮華(ほうれんげ)庵(あん)永機(えいき)と/交(まじは)り頗(すこぶ)る俳道(はいだう)を得(え)たり又花所(またくゎしょ)隣春翁(ちかはるおう)に学(まな)びて/画(くゎ)を能(よ)くし手跡(しゅせき)も尋常(しんしゃう)の俗筆(ぞくひつ)ならず時(とき)に/維新(ゆいしん)の機会(きくゎい)に際(さい)し俳優道(はいいうだう)の旧習(きうしう)を一洗

By nakamura, 5 7月, 2024

西條高盛 市川団十郎   今御身らが今(こん)日をふけいきなりとかこつのもいはゆる国(くに)の/おとろへにて時世(じせい)につれてのことなればたれのとがともいふ/にもあらず方(はう)今三府(ぷ)五港(こう)をはじめ都下(とか)は不学(がく)の/ものなきゆへかく開化(かいくゎ)の域(いき)にすゝめど遠境僻(えんきゃうへき)地に/いたりては有学(がく)のものまれなるゆへいまだぶんめいの/ときにいたらずさればこん日は政府(せいふ)のあつき/朝旨(し)をわきまへねば不平(ふへい)とならすもの/おほくそのおよばざるをしらずしてやゝ/すればととふをむすび煽動(せんどう)なすもの/あるゆへに天下(てんか)おだやかならさればこゝ/に全国(ぜんこく)のふけいきを生(しょうず)るなりおひ〱/遠境僻(えんきゃうへき)地迄も学校(がくかう)あらざる所(ところ)なく教諭(けうゆ)/おろそかならざれば少年輩(はい)は云(いふ)に及(およ)ばず其親(おや)たる頑固(ぐゎんこ)/の者(もの)も終(つい)に学事(じ)の徳(とく)をしり文明開化(めいかいくゎ)に進歩(しんぽ)なさば/凡(およそ)三千五百万の人民(じんみん)兄弟(てい)の心(こゝろ)を生(しょう)じ全国一和なす時(とき)はとヽう/を結(むす)ぶ者(もの)もなく全(まった)く天下泰(かたい)平にて鼓腹(こふく)の時に至(いた)るべし夫(それ)迚(と