▲西郷小平 菊五郎/●桐野利秋 団十郎/●「軍(ぐん)を統権(すべけん)をたもつ者(もの)は将(しやう)なり勝(かつ)を制(せい)し敵(てき)を破(やぶ)る者(もの)は/衆(しう)なりと三畧記(さんりやくき)にもいへるが如(ごと)く足下(ごへん)は我等(われら)が総督(そうとく)たる/隆盛殿(たかもりとの)の弟(おとゝ)にて勇畧(ゆうりやく)もつとも世(よ)に聞(きこ)え股肱(ここう)とたのむ人(ひと)なれば熊本(くまもと)県下(けんか)へ進入(しんにう)の先鋒(せんはう)となり/衆(しう)に抽(ぬき)んで功名(こうみやう)して舎兄(あにご)の本意(ほんい)を達(たつ)されよ ▲「そは仰迄(おほせまで)も候はず兄(あに)隆盛(たかもり)を初(はじ)めとして桐野(きりの)篠原(しのはら)/両将(りやうしやう)まで今度(こんと)の暴挙(ばうきよ)に與(くみ)せしうへはいかで拙者(せつしや)が違背(いはい)すべき去(さり)ながら我兵(わかへひ)の熊本県(くまもとけん)へ乱入(らんにう)するは/軍配(ぐんばい)甚(はなは)だ然(しか)るべからず夫故(それゆえ)拙者(せつしや)は先鋒(せんばう)に進(すゝ)んで無益(むえき)の討死(うちじに)を致(いた)すを功(こう)とは存(ぞん)じ申(もふ)さぬ●「こは異(こと)/なりたる足下(そつか)の詞(ことば)熊本県(くまもとけん)へ出(いて)