軒端(のきは)を誘(さそ)ふ小嵐(こがらし)も最(いと)物凄(ものすご)き/二更(こう)の頃灯火(とうくは)の光(ひか)りも消(きへ)なん〱/として薄暗(うすくら)き広々(くはう〱)たる宮殿(きうてん)に/居並(いなら)ぶ勇士は何(なん)人ぞと透(すか)し見(み)/るに先頃(さきごろ)鹿児島の城山亡(ほろ)びたり/し逆将(きやくしやう)西郷隆盛以下の輩(ともがら)なり/各々(おの〱)一度(ひとたび)薩隅日肥(きんごく)を横行(おうぎやう)して暴(ほう)/威(い)を振(ふる)ふと雖(いへど)も日章(につしよう)の簱風(はたかぜ)に/吹(ふき)なびかされて草葉(くさば)の露(つゆ)と消失(きへうせ)し/が魂魄(こんぱく)猶(なを)其(その)志意(こゝろざし)を変(へん)せず地中(ちゝう)を/分巡(わけめぐ)って地獄(ちごく)に赴(おもむ)き再度(ふたゝび)事(こと)を発(おこさ)/んとの目的(もくてき)にして閻魔王(えんまわう)に逼(せま)って出(しゅっ)/兵(ぺい)を乞(こ)ふの体(さま)なり身体(しんたい)全(まつた)くして 勝(しやう)を得(え)ざりし者(もの)何(なん)ぞ魂(たましい)と成(なつ)て何事(なにこと)が/仕出来(でかさ)ん哉(や)と抱腹大笑(はうふくたいせう)の折(おり)から寝耳(ねみゝ)/に響(ひゞ)く時計(とけい)ちん〱目覚(めさめ)て見(み)れ机上(き