上古(じゃうこ)の事(こと)は姑(しばら)く置(おき)て神武(じんむ)天皇(わう)御世(みよ)を治(しろ)し/めしてより以来皇統一姓(このかたくゎうとういっせい)に存(ましま)せは大政総(すべ)て/王室(わうしつ)より出ず云ことなかりしに島津の祖先(そせん)源/頼朝相刕(より とも さう しう )蛭(ひる)が児(こ)島に起(おこ)りて義仲(よしなか)を追討(ついとう)/し平家を西海に沈(しづ)めてより国家(こくか)の政権(せいけん)/武(ぶ)家に出るに至(いた)りて六百有余(やうよ)年将軍職(しゃうぐんしょく)/を置(おか)れたりしも一回(ひとたび)天下変遷(へんせん)するや戊辰(ぼしん)の/役(えき)に将軍職を廃止(はいし)して天下の政権(せいけん)皇室(くゎうしつ)/より出るに至りて一新開化(かいくゎ)に進歩(しんほ)して諸(しょ)/民(みん)太平を楽(たのし)み今や開明(かいめい)の治世(ぢせい)に方(あた)り此度(このたひ)/又鹿児島旧藩士等(かごしまきうはんしら)不平(ふへい)を鳴(なら)し皇統(くゎうとう)に/抗(かう)するも暫時(ざんじ)の夢(ゆめ)を見(み)るが如(ごと)し一時賊(じぞく)/軍勝利(ぐんしゃうり)を得(う)るとも昔古(むかし)より朝敵逆(てうてきぎゃく) 徒(と)の暴意(ぼうい)を貫(つら)ぬきしためしあらんや/官軍(くゎんぐん)がたには海陸(