西郷隆盛(さいがうたかもり)は当春(たうはる)以来賊軍(ぞくぐん)の/将(しやう)となり数百度(すひやくど)官軍(くわんぐん)に抗(かう)し/頗(すこぶ)る勇(ゆう)を奮(ふる)ひ全国(ぜんこく)を動揺(どうよう)せ/しめしが遂(つひ)に敵(てき)するを能(あた)はず/して明治(めいぢ)十年九月廿四日の早天(さうてん)/より官軍(くわんぐん)大挙(たいきよ)して鹿児島(かごしま)城(しろ)/山(やま)の賊塁(ぞくるい)を目(め)がけ大小銃(じう)を打(うち)/立(たて)しが賊(ぞく)は素(もと)より弾丸(だんぐわん)乏(とぼ)しければ/打(うつ)て出(いで)奮戦(ふんせん)なす安村某君(やすむらなにがしくん)は賊(ぞく)/将(しやう)の面(おもて)を豫(かね)て見(み)しりたるゆへ西郷(さいがう)/が首(くび)を得(え)んと飛(とび)かかるを何(いづ)れへか/遁(のが)れ去(さ)り割腹(かつふく)したりとそ其後(そのご)首(しゆ)/級(きう)を見出(みいだ)し実検(じつけん)ありしといふ